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(17)ノープレッシャークッションⅡを試してみた [介護]

手足の動かせない障害者にとって、座っている時間を快適に過ごすためにはクッションの役割は大きいです。一旦座ると自分では全く姿勢を変えることができないため、坐骨部や尾骶骨部に痛みが生じたり、さらには褥瘡(じょくそう)になったりするからです。まして、ALSのように筋肉が減少する疾患では、この症状はさらに深刻な問題となります。

これまで色々な種類のクッションを使用し、着座時の痛み低減にどの程度の効果があるかを検証してきました。しかし、これまで評価したクッションでは、着座時の痛みを完全には除去できませんでした。そして、現状ではメッシュ型エアークッションが痛み低減には最も効果的であるとの結論を得ました。検証の詳細はブログ(5)、(13)を参照ください。

もうこれ以上試すべきクッションは無いと思っていました。そんな折、出入りの理学療法士さんに『このクッションはどうですか?』と紹介されたのが、株式会社ハンディネットワーク インターナショナルのノープレッシャークッションⅡです。( https://shop.hni.co.jp/npc?gclid=CjwKCAjw1JeJBhB9EiwAV612ywResI65NOBIgEG1ghA6LZt861wk4uo2dEN7fn15BKzm446C9yavjhoC1TIQAvD_BwE
このクッションは後部にオープンポケットと呼ばれる切り込みが入っており、尾骶骨や坐骨部分の痛みを低減可能とのふれこみです。価格は36000円と決して安くはないですが、これで着座時の痛みを除去できるのであれば購入する値打ちがあると思いました。しかも、60日以内であれば返品可能とのこと。すぐに購入を申込み、試してみることにしました。そもそもクッションは数時間連続で座ってみないと、自分に合うかどうかなんか分かりません。

届いたクッションのオープンポケットは図1に示すようにホームページ掲載の写真より小さく見えました。また、太もも等を支える部分はナチュラルラテックスという素材で作られているそうで、非常に柔らかく感じました。

図17-1.jpg

いつも使っている電動昇降椅子にセットして、オープンポケット部に坐骨が入るように座ってみました。介助者に坐骨位置を合わせて座らせてもらうには、少々の試行錯誤が必要でした。座った瞬間の感想は、坐骨部の痛みはほんの少し緩和されたかなと感じる程度でした。そのまま継続して座ってみました。しかし、20分程度で痛みに耐えられなくなりました。

ホームページでは坐骨部をオープンポケットで完全に浮かす構造のように説明が為されていますが、実際には痛みのある坐骨周辺部を完全に浮かすほどではありませんでした。テーパーの付いたオープンポケット周辺部が坐骨とその近傍に接触するのです。そのため、若干の痛み低減は可能ですが、私の場合20分程度で痛くなってしまったのです。

一方、太もも等を支える部分は非常に柔らかい素材で、座った直後の感触は非常に良かったです。しかし、荷重を分散させる原理は低反発やジェルのクッションと同じです。今回は先に坐骨部が痛くなったため、太もも等に痛みを感じるには至りませんでした。

以上のような結果となり、残念ながら本品は返品させていただきました。 オープンポケットがもう少し広ければ快適に使えたのかもしれません。ただ、オープンポケットで浮かせた荷重を他の部分で支えなければならないので、広げるにしても限度があるのが難しいところですね。左右の坐骨間隔が狭い方や、痛みの程度が軽い方なら快適に使えると思います。


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