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(22)ALS患者が胃カメラ飲んできた。 [ALS]

先月、胃カメラを飲んできました。健常者でも人によっては苦痛を伴うと聞きます。今回、ALS患者がこの検査を受けるとどんな事が問題になったかを紹介します。

ALS患者で胃カメラというと、まず胃瘻設営を思い浮かべます。この胃瘻設営は呼吸機能が低下していると手術が難しくなるらしく、早めにすることが勧められています。しかし今回の私の場合は胃瘻設営ではなく、単純に胃の検査です。というのも、妻の勧めで受けた血液検査でピロリ菌陽性となったのです。

これまで胃カメラは1度も経験が無いので、健常者に比べALS患者の場合はどの程度大変になっているかは分かりません。現在の私のALS症状は、呼吸機能が低下しており、胃瘻設営をしても早すぎるという段階ではないと言われています。しかし、食事も通常通りですし、息苦しいということはありません。胃瘻については今後の進行具合を考慮して、そう遠くない時期に判断が求められることになりそうです。ちょっと気が重く憂鬱になりますね。それでは、検査を受けるクリニックに到着後からのいろいろを紹介します。

クリニックには車椅子で到着です。待合室で少し待機し、検査時間の少し前になるとベッドに移ります。車椅子からベッドに乗り移るのも実は大変です。女性看護師が3人ほど手伝いに来てくれましたが、妻が1人でリフティ・ピーヴォ(https://www.aun.blue/lifty-pivo/)という移乗補助器を使ってベッドに乗り移らせてくれました。看護師さんたちは「便利なものがあるんやねー」と感心されていました。

ベッドに端座し、支えられながら仰向けになります。ここまでは順調です。次は、身体をベッド中央に移動です。両膝を立てて腕を通し、身体を浮かせてずらすようです。動かされたと思ったその時、膝を支えていた腕を抜かれました。「そこで手を離さないで」と言う間もなかったので、立てていた膝は重力に抗しきれず勢いよくバタンと開きました。股関節に痛みが走りました。思わず「痛い、痛い」と声が出ましたが、看護師さんたちには何が痛いのかわからなかったようです。手をかけた箇所が痛かったと勘違いされています。

拘縮が生じているALS患者にとって、パタンと脚が開いてしまうことは結構辛い痛みです。膝を閉じておくことが自分ではできないことを伝えておくべきでした。

乗り移ったベッドはBelmont社の横幅の狭い検査用と思われるものでした。ここに横になって検査の順番待ちをします。たとえ短時間でもALS患者の場合はこれが辛いです。10分ほど経ったでしょうか、まず両かかとが痛くなってきました。次に両肘、そして両掌が痺れてきました。尾骶骨や仙骨、肩甲骨付近が痛みだすのも時間の問題です。耐えきれず、通りがかった看護師さんを呼んで、痛くなった両足、両手を少し持ち上げたり動かしてもらいました。「これでいいですか?」と言いながら対応していただきました。これで少し持ち直しました。

ALS患者は筋肉がやせ細っており、骨の出っ張っている箇所がすぐに圧迫されます。さらに私の場合は浮腫みもあり、両掌が常にしびれています。そのため、同じ姿勢が続くと、痛みを感じたり、しびれが強くなったりします。しかし、身体を動かすことができないので、自分でこの状態を解消することができないのです。

そうこうしているうちに、私の順番になりました。ベッドのまま、検査室に移動です。そこで左側を下に体を横向きにされます。右手をお腹の上に置いた状態で左向きに転がされるのですが、右手の落着く先は自分では決められません。行く先に何があろうと重力にのみ支配されて動きます。指が引っかかって痛いと訴えても、残念なことに理解されませんでした。適当に手の位置を整えられて、指先の痛みは解消されました。
背中側に体を固定するクッションのようなものが差し込まれ、何とか横臥位を取ることができました。

姿勢を整えると、喉に麻酔をするための薬をスプレーで口内に吹付けられました。その麻酔薬を飲み込むと、口を開けておくマウスピースをはめられました。私の場合、鼻詰まりもあるので少し息苦しく感じましたが、問題になるレベルではありません。次はいよいよ胃カメラが挿入されます。先生は無口なのか胃カメラを入れますとも言わず、会話は全く無く淡々と作業を進められます。

胃カメラは冷たいらしく、喉、食道を進んでいるのが分かりました。抜かれる際も、食道、喉を通過中であることは分かりました。検査中は口呼吸することで乗り切ることができました。胃カメラを飲み込んでいる時間は10分程度で終わりました。胃カメラが抜かれ、マウスピースを外されて検査完了です。

再度横臥位から仰向けにされます。嫌な予感的中、またもや股関節に痛みが走りました。看護師さんたちは何が痛いのか全く理解できていません。「ちょっと我慢して下さい。」と強い口調で言われる始末。

姿勢を元に戻されると、検査室を出て待機場所に戻ります。麻酔をしていないので眠気を催すことはなく、すぐに起き上がっても問題ありません。妻が待合室から呼ばれて、車椅子へ移乗です。リフティピーボのセッティング、端座位の姿勢保持を看護師さんたちに手伝ってもらい、そこから車椅子への移乗は妻が慣れた手際で行いました。

車椅子に乗り移ると、1人の看護師さんが靴を履かせてくれました。強引に履かせようとされたので「そんな手荒にしないでー!」と思っている内に無事に終わりました。
この時はかなり大きめの靴を履いていたので偶然問題が生じなかっただけです。

この靴を履く際にもALS患者の場合は注意が必要です。それは、足の指が曲がったままになっており、自分ではまっすぐに伸ばすことができないのです。足を強引に靴に差し込まれると、曲がったままの指がさらに曲げられたり、爪が引っかかったりすることがよくあるのです。こうなった状態で強引に履かせようとされると痛みを伴います。足の指が伸びるように靴の上から押したり、靴への挿入角度に注意しながら履かせて頂かないといけないのです。

検査室を出て待合室で少し待ち、先生から説明を受け、除菌の薬を処方して頂いて全て完了です。特に大きな問題なく終わりました。やれやれです。

【まとめ】
(1) 胃カメラを飲むことについて、私の場合は痛みを感じることもなく終わりました。呼吸が苦しいということもありませんでした。

(2) ALS患者の扱いに不慣れな看護師さんたちに注意が必要な動作をどのように伝えるかが課題であると感じました。一動作ごとに声をかけていただくのが現実的かと思いますが、流れ作業的になるとお願いする間もないのです。

今回紹介した内容が、同様の症状でお困りの方や関係者のお役に立てればと思います。

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